音楽をクリエイティブと捉えるか、それともアートと捉えるか。
産み出す側としてはとても重要な問いだと思います。

こんにちは。六弦A助です。

最近はいくつか重なっていた外注案件をようやく半分提出し終え、並行して冬の新譜制作にも入っております。
先日のブログでも少しお伝えした通り、今回の新譜のテーマは「極東 + Goth」となっております。
極東というのは、いわゆるアジアの中でも日本や中国、朝鮮半島、タイなど、この辺りの周辺国のことを指しています。

一見してGothとは何の縁もない地域のように思えますが、それはあくまでもファッション的な視点から捉えた側面に過ぎません。
本日はこの辺りについて、つまり「Gothって何?」というところをお話しして参りたいと思います。

まずはGothの定義について触れて行こうと思ったのですが、現代ではかなり曖昧なイメージとなっています。
ですので、ここでは分かりやすく特徴を簡単に抑えて参りましょう。

Gothの特徴

    • 黒を基調としている
    • 死や退廃的なものに美を見出している
    • ポジティブではない
    • 閉塞感が漂っている
    • 必ずしもクラシカルであるとは限らない
    • 薔薇や悲劇は特にGothとは関係がない
    • 異端的である
    • ゴスロリはGothではない
    • お茶会は開かない
    • クラブに行くと、必ず角を生やした人がいる
    • 音楽の世界ではバウハウスなどのポストパンク、ダークウェイブからの影響が多少なりともないと、割と “もぐり” だと思われる
    • 派手な格好をしている人ほど内気
    • 受動的な人が多い
    • 仲間意識が強く情に厚い人が多い
    • 猫好きが多い
    • 魔女を自称する率の高さ
    • イベントのオール明けに牛丼を食べる率の高さ
    • インナーはだいたいユニクロ
    • 隠れGothの人はだいたい小物アクセサリーでバレる
    • 横の繋がりがすごい

以上が私が独自調査して分かったGothの特徴です。
色々と挙げましたが結局何が言いたいかと言うと、白とか明るい雰囲気のものはGothではありませんよと、そういうことです。
昔は「和ゴスなんて認めない」と仰る方々が多数派でしたが、最近はそうでもないような気がしますね。

話を戻しましょう。

今回の新譜になぜ極東とGothを掛け合わせたテーマを選んだのか。
こちらについてお話ししましょう。

私にとって極東という地域は、全般的に経済発展が著しいように感じます。
日本ももちろんそうですが、経済大国の座において世界第2位となった中国(アメリカに取って代わって基軸通貨の座を狙っている)、1973年から現在へ至るまでに国民ひとりあたり約70倍のGDP成長を遂げた韓国、そして現在経済発展がめざましいタイなど、日本を取り巻く周辺国が次々と大躍進を遂げております。

と、表向きはそうなのですが、その経済発展の裏では取り残された人々が数多くいるのが現状です。
例えばお隣の韓国では急激な経済発展の裏で自殺者数がOECD諸国の平均を2.5倍も上回る(2012年調べ)など、豊かさの基準が上がったことによるひとりあたりの求められる期待値に押しつぶされる若者が急増しているそうです。

かつてアメリカも急激な経済発展を遂げましたが、当時のケネディ大統領がこんなスピーチを残しました。

「わが国の経済は豊かに成長しました。ですが、GDPには詩の美しさも、夫婦の絆の強さも、公に討論することのできる知性も含まれていません。GDPはなんでも測れるようでいて、人生の価値を高めてくれるものは含まれていないのです」

つまり、国が豊かになると、その国に暮らす人々の心は貧しくなるというジレンマを孕んでいることを説いているのですね。
全ての人々がそうなるわけではないでしょうけれど、相対的に見るとそうなる傾向にあるということです。
先進国における社会全体を覆う閉塞感の正体がこれでしょう。

この辺りの話をし始めると「ライフサイクル理論」など、少し専門的な領域へ片足を突っ込むことになりますのでここでは割愛しますが、今回の新譜ではバリバリ踏み込んでおります。
ただ踏み込むだけでは面白くも何ともありませんので、「ではどう考えればよいのか」というところまでを歌詞と楽曲を通じて表現出来ればと考えております。

私たちなりのGothを表現しようとしている、そう解釈して頂ければと思います。
現在3曲ほど同時進行で走らせておりますが、全体の基準となる一曲は既に出来ております。
うっかりプログレになってしまいましたが、これ以降は分かりやすい楽曲構成でまとめようと考えております。歌詞以外。

それでは本日はこの辺りで。