新譜を一年以上リリースしないことは、これまでの活動のなかで一度もありませんでした。
こんにちは。六弦A助です。
とはいえ、その間まるで何もしていなかったわけでもないのです。
ずっと水面下で新しいサウンドの在り方を模索していました。研究ですね。
おかげさまで最近になってようやくはっきりとした輪郭が見え始めてきました。
これまで通りのペースで新譜をリリースしていたら、おそらく今でも見えなかったのではないかと思われます。
その代わり3タイトルはリリースできていたでしょう。
どちらが良かったかは、まあ、これからお話しする内容を読んでいただいてからとして。
Art
アーティストは常に最新の状態であるべきだと、私は常々考えています。
それこそ例えば2~3年前にリリースした作品と似たようなことをやっているようでは、まるで成長がないと言わざるをえません。
実際、私たちもその問題に何年も苦しめられて来ました。
前回の作品と今回の作品は、いったいどこがどう違うのか。
目に見える違いはあるのか。
それについて作った当事者があれこれ雄弁に語れるのは当たり前として、果たしてそれはファンも同じなのでしょうか。
いや、そうとは限らないでしょう。
「なんだ前作とほとんど同じじゃないか」と思いながらも「まあせっかく買ったわけだし」と自分に言い聞かせてやり過ごす人もいるかもしれません。
他方、前作と同じような作風を求めてこられる人も少なくはありません。
私たちとしてはそれに応えることもできますが、それをやるのは私たちにとっても実に悩ましい問題なのです。
なぜなら、それは活動目的の本質(ビジョン)に抵触するからです。
つまり、「お客さまの求める問題を解決し、その対価をいただく」というその行為は、商売の本質であってアートの本質ではないからです。
アートの本質は、思想から生まれるものです。そして思想とはまさに、ビジョンそのものなのです。
ビジョンなきアートに美しさはありません。
アーティストが本当に生み出さなければならないものは、つまり美しさなのです。
冒頭でも触れましたが、アーティストは常に最新の状態であるべきだと思うのです。
ここで勘違いしていただきたくないのは、私は何も商売としてのアート活動を否定したいわけではないということです。
当然です。私たちも人さまからお金をいただいて活動している以上、商売としての側面があることも認識しています。
しかし活動の根底にあるビジョンそのものも同じ認識かと問われると、それは否定しなければなりません。
なぜなら、私たちはアートを生み出そうとしているからです。
ところが昨年からのコロナ禍による相次ぐイベントの自粛や中止、緊急事態宣言、エンタメ産業のパラダイムシフトなどにより、何だか余計なことを考えるようになりました。
私たちはアートをしているのか、それとも商売をしているのか。
本当はどちらが正しいのか。
今でもときどき判らなくなることがあります。
Science
私はコロナ禍の前年の夏(reinをリリースした頃)くらいから中小企業診断士(中小企業経営者のサポートをする業務)の資格の勉強を始めており、毎日欠かさず継続中なのですが、その過程でいくつか判ってきたことがあります。
例えば私は作品を作る人であって、メンバー専属のマネージャーでもありませんし、プロダクションの社長でもありません。
だから私は経営や商売のことはある程度理解こそすれど、あまり深く考えず、ひたすら良い作品を生み出すことだけを考えていれば良いのです。それで良いのです。
それをどうやって回して成長させて行くかは、また別の人がやれば良いのです。
これを専門的にやる人のことをマネジメント層といいます。
ちなみに中小企業診断士がサポートする対象がこの方々です。私はいま、これを極めようとしているのです。今年の一次試験を目指して毎日頑張っている最中です。
話を戻します。
つまり、それぞれの分野にそれぞれの専門人材が集まっていれば、何だかんだでうまく回るのです。
ビジョンがしっかりと共有できていて、なおかつチーム内に変な人が紛れ込んでさえいなければ。
あとは適材適所です。
変な人(組織に適切でない人)がいないのは、めちゃめちゃ最低条件です。
で、これを一人何役とかで回さなければいけないような状態が続くと、大抵うまく行きません。
なぜならすべてが中途半端になるし、そもそもビジョンを振り返る余裕もなくなるからです。
うまく行っているグループや会社はこのバランスが整っています。
結局マンパワーなのです。本質は。
一人のすごいカリスマがちゃちゃっと片付けて急成長なんてのは、ファンタジーなのです。実際は。実務では。
だから「周りに感謝しよう」なんて当たり前の言葉がそこらじゅうで幅を利かせているのです。
私が言いたいのは、どれだけ立派なビジョンを掲げても、結局それを動かして実行する適切なチームがいなければ何の役にも立たないということです。
で、六弦アリスには作るばかりで経営ができるとか、そんな人材は全くいなかったので、仕方がないから私が経営の勉強を始めたのですが、気が付いたら何だか国家資格の取得にまで手を伸ばしてしまっていた、という経緯です。
初めは資格を取るなんてまるで考えていなくて、ただ何となく必要に駆られて勉強をしていただけだったのです。
アーティストは常に最新の状態であるべきなのです。
ある日とつぜん何かを始めてもいいのです。そこに人生の整合性があるなら。
Craft
ところで昨年のうちに実際に作り始めていた幻の新譜があるのですが、こちらはいったんお蔵入りさせました。
何だかテーマが暗く、このコロナ禍でリリースするには勇気がいります。
代わりに別の作品のプロットが昨日おおよそできたので、こちらで進めております。
久々の新譜です。
楽しみにお待ちいただければと思います。
アーティストが常に最新の状態であるべき理由を作品で示したいと思います。
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