先日のレポに続き、本日はいよいよ試験最終日のレポです。
前回のレポはこちら。
5:30 起床
二日目も初日同様にして目覚めが良く、今日が試験最終日かつ本日のでき次第で全てが決まるのだという緊張感もまだない。
朝食は先日買っておいたパンを小口で しんしん と召し上がる。
7:00 出発
外に出ると朝日がいつになく眩しい。これは私を祝福する光か。それともこの身を焦がす審判の光か。
列車の中では自作まとめシートを最終チェックしながら過ごす。
すると斜め向かいの男が何やらチラチラとこちらを気にしているのが気配で分かった。
ミニスカートをはく女子の気持ちが今なら痛いほどよく分かる。
キモい。
8:00 試験会場到着
相変わらず凄い人数の受験者が集まっている。昨日も感じたことだが、おそらくこのコロナ禍で在宅需要が増えてリスキリング (学び直し) の時間ができた人が多いのだろう。
中小企業診断士なんてマイナーな資格試験でもこれだけの人数なので、他の資格も合わせれば相当数なのだろう。
私は少々変わった理由で受験しているのだが、それはまた別のお話。
9:00 教室へ
ポマードは今日も相変わらずガッチガチにキマっていた。
昨日と唯一違うのは、服が寒色系ではなくなったこと。
彼なりの気合いの表れか。
斜め隣のエンジニアは昨日怒られたばかりだというのに、相変わらず大量の缶コーヒーとペットボトル、参考書などを机上に整然と並べ分けてオブジェクト化していた。
9:40 試験開始10分前
案の定、エンジニアが試験官に注意を受ける。私は彼みたいな人は嫌いではない。面白い。
9:50 1時限目 経営法務
この科目は民法や会社法、知的財産法などを学ぶもので、とても複雑な内容だが私はこの科目が思いの外好きなのだ。
何なら本日最も得意とする科目かもしれない。
早速設問に目を通していく。
「?」 「??」 「!!?」
どうしたことか。
知らない内容ばかりが並んでいる。これまで何周もしていた過去問とは明らかに違うタイプの、そう、言うなればネットでよく目にするポルナレフの「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ」そのままの出来事が今目の前で「現実に」起きているッ!
後日判明したのだが、今年度の経営法務は異例の難化だったそうで。私は知的財産法くらいしか解けなかった。
結果的にこの科目が足切りとなり、他の科目の足を引っ張ってしまったのは言うまでもない。
翌日、司法書士のテキストを買いに走るという迷走ぶり。
ちなみにポマードはこの科目を取れていたらしい。先日公開された受験番号で判明した。
優秀ポマード。
11:30 経営情報システム
これは主に基本~応用情報技術者、ITストラテジストなどの分野から出題される。
この科目はIT関係の職に従事していないと正直さっぱりな分野なので、こちらも経営法務と同様ひたすら市販の問題集と過去問を周回するという基本的な対策で望んだ。
事前自己評価としては「7割以上は余裕で狙えるっしょ」的な、ゾンビ映画で言えば最初に喰われるタイプのモブ大学生のような余裕が正直あった。
早速設問に目を涼しげに通していく。
次のページを誰よりも華麗に素早く美しくめくれるよう、余裕を持って既に左手は「あ…ありのまま 今 起こった事を (以下略
後日判明したのだが、今年度の経営情報システムもまた、異例の難化だったそう。
足切りこそ免れたものの、ほぼそれに準ずる感じのいわゆるひとつのアレだった。
隣のため息が多い年配男性は、ため息すら忘れて天井を眺めている。
他方、斜め隣のエンジニアはよもやよもやで頭を抱えている。カエサルは思った。ブルータス、お前もか。
うっすらと蝉のなく音が聴こえてきた。
夏の終わりが近い。
12:30 昼食
初日とは違い、皆がパンというわけではなかった。何と弁当持参組が増えていた。
それに音も立てて、何やら比較的にぎやかな雰囲気がある。
後ろから弁当を包んでいた輪ゴムを外す「バリバリンッ!♪」という音が何度か聴こえてきた。
これはシュウマイの匂いだ。崎陽軒か。
ポマードも弁当を持って来ている。意外や意外、あっさり和食弁当だ。
ヘアアレンジをあっさりにしてはどうか。
13:30 最終科目開始
いよいよ試験最後の科目、「中小企業経営・中小企業政策」が始まる。
何とか前半2科目の失点を取り返したい。
開始直前、試験官より受験者全員に激励の言葉をいただけた。
「いよいよ最後ですね。皆さん、、頑張ってください」
この突然のサプライズで急に緊張し始める私。この期に及んで「トイレに行ってもいいですか」と手を上げながらまだ許可は降りていないのに既に向かおうとしている上品な仕上がりの銀フレームが特徴の眼鏡を輝かせる科目合格者。
あれだけ注意されながらまだのんびりコーヒーを飲んでいるエンジニア。若い女性受験者を背後からチラチラ目で追うマイペースなエロポマード。
他の教室は知らないが、この教室には確かな多様性がある。
この科目は中小企業が使える補助金や貸付金に関する知識、昨今の中小企業の全業種の動向などから出題される。
補助金や貸付金の知識は無駄に豊富なのだが、全業種の動向だけが最後まで覚えられず、この辺りをネチネチ問われるとヤバいなとは感じていた。
案の定、本試験ではこの辺りが非常にネチネチと問われてしまっていた。
ここへ来て悩んでも仕方がないので、とにかく補助金や共済年金周辺を完璧に固めて何とか半分の点数は確保しようと後半の設問を眺めやる。
するとどうだろう。聞いたことがない補助金がいくつか出題されている。
思わず「こんなのがあったのか。これは良いことを知った」などと関心してしまったのだが、如何せん試験中。
ここは商工会議所ではない。知らないではマズいのだ。
ちなみにこの科目も異例の難化だったらしい。
後日、診断士協会から一部の設問に不適切な内容があって受験者全員が正解とされたのだが、私はその設問を不運にも最初から解答できてしまっていたので加点はなかった。
この科目はあと1点に泣いた。
帰りの列車の中では何だか手持ち無沙汰になっていた。これまでは乗車中に何かしら試験対策をしていたのが、試験も終わり、何もすることがなく、喪失感にも似た感覚に戸惑う。
とりあえず外注案件の楽曲のプランをGoogleドキュメントにまとめながら過ごすことに。
診断士の勉強は音楽活動にとっても非常にプラスになりました。特に外注案件ではその効果は計り知れません。
ただ与えられたテーマで楽曲を完成させるだけでなく、相手のコンテンツに込められた理念やブランドイメージを毀損しない楽曲作りを、感覚的ではなく、論理的に作れるようになったことはとても大きいなと思います。
ただアイデアを詰め込むだけでは駄目で、そのブランドはその作品を通してお客さんに何を伝えようとしているのか。
そこまでを見通せていないと先方にとって付加価値の高いもの作りができているとは言えないのです。
そのシーンに合えばそれでいい、売れれば何でもいいでは駄目なのです。
ビジョン、ブランド、技術。全てがバランスよく噛み合うことでコンテンツは長期的に成長します。
私たちのようにもの作りに生きる人間は、その成長の輪の中にあるシステムの一要素であることを認識できていなければなりません。決して自分は主役ではないのだということを肝に命じて、これからも取り組んで参りたいと思います。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
以上、試験二日目のレポでした。